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「うわぁー、素敵……」
中の庭園はチケットと同じイタリアのヴェネチアをイメージとした造りになっていて、あちらこちらにガラスで彩られたオブジェや花が飾られ、ヨーロッパ風の建物がいくつか建っていた。
庭園の中心となる大きな池は水が緩やかに流れていて、噴水があったり、橋があったりして、これも水の都、ヴェネチアを想像させる。
今日は天気がいいこともあってか、池の中にはカモの親子が気持ちよさそうにスイスイと泳いでいた。
まるでガラスの魔法にかかったような庭園のようだ。
「あっ、可愛い。あそこにカモの親子がいる!」
「理人さん、この橋にかかってる光の回廊がすごくすごく綺麗です」
「わぁーすごい。この橋のガラス、太陽の光に反射して七色に見えます。虹みたい!」
あまりにも庭園が素敵すぎて、私は目を輝かせながら興奮して綾瀬さんに話しかけていた。
「遥菜、そこの橋の回廊のところに立って。写真撮るから」
綾瀬さんが写真を撮るからと言って、私を橋の真ん中に立たせようとする。
「いっ、いや、写真はいいです……」
恥ずかしくて、首を左右に振りながら断ってしまう。
「ダメだ。さっき約束しただろ。夫婦のように振舞うって。今日は写真を撮るからな。はい、そこ立って」
渋々、橋の真ん中に移動すると、綾瀬さんが手を振りながら「撮るぞー。はいチーズ」と言ってスマホで写真を撮った。
写真を撮られたあと、私はふと考えてしまった。
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