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綾瀬さんと手を繋いで庭園内をぐるりと歩いたあと、ヴェネチアン・グラスの美術館や、現代ガラスの美術館を見て回った。
15世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ王侯貴族を魅了したヴェネチアン・グラスが展示されていて、思わず溜息が漏れてしまうほど色彩や形、全てが繊細で美しかった。
そのまま順路はミュージアムショップへと続き、ヴェネチアングラスにクリスタルガラス、アクセサリーやワイングラス、ガラス小物など、可愛いガラス製品が所狭しと飾られていた。
「遥菜、何か欲しいものないか? お礼にプレゼントするよ。値段が安くて申し訳ないが……」
綾瀬さんがピアスやネックレスを見ながら私に尋ねる。
「いっ、いいです。そんな……」
私が断ると、また意地悪っぽい視線が飛んできた。
「遥菜、今日はここに入る前に俺と約束したよな? 忘れてないよな?」
至近距離で顔を覗き込まれ、思わず視線を下に落としてしまう。
「そんな可愛い顔して下を向いても今日の俺は容赦しない。何がいい? 好きなの選んで」
こそっと耳元でそんな風に囁かれ、思わず身体がキュッと疼いた。
(どうしてこんなにドキドキさせるようなことばかりするの……?)
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