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困ったように綾瀬さんに視線を向けると、楽しそうに微笑んでいる。
あっ、この顔!
そうか。わかった。
この顔はきっとまた私に意地悪をしてその反応を見て楽しんでいるに違いない。
私は小さく息を吐くと、アクセサリーとは違う小さなコンポートを指さした。
「だったらこれがいいです」
「これ? この皿がいいのか?」
「はい。このレースのデザインが可愛いのでこれがほしいです」
このお皿だったら綾瀬さんとお別れの日まで朝食にフルーツを乗せて毎日出せるはずだ。
綾瀬さんの大好きなゴールデンキウイも、マンゴーも、パイナップルも……。
綾瀬さんとの今日のデートを最終日まで毎日思い出すことができる。
綾瀬さんは不思議そうな顔をしながらも、私が指さしたレース模様の緩やかな曲線を描いたコンポートをプレゼントしてくれた。
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