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海斗と食事をしてから8日ほど経ったころ、昼間、会社で仕事をしていると俺のプライベートの携帯に1本の電話が入ってきた。
番号を見ると登録されていない、知らない番号だった。
どうせ何かの勧誘か間違い電話だろうと思い無視をしていたが、その後も何度も同じ番号から着信がある。もしかしたら知り合いかもしれないと思った俺は、携帯の通話ボタンをタップした。
「もしもし」
「良かった。やっと出てくれた……。もしもし、理人? 急に電話してごめんなさい。元気だった?」
携帯から聞こえてくる声は、知らない女性の声だった。
やけに馴れ馴れしく、俺のことを親しげに「理人」と呼び捨てにする。
誰か分からない俺は、冷たい口調で聞き返した。
「すみません。どちら様ですか?」
「えっ……? そんな冷たく言わなくても……。確かに私も悪かったと思ってる……。だけどそんな意地悪しないで。私、日本に戻って来たの。久しぶりに会えないかな?」
電話の相手は相変わらず俺に親しげに話してくるが、名前を名乗らない。
不機嫌になった俺は、「どなたか分かりませんが、話すことはありません。失礼します」と言って、電話をブチっと切った。
そんなおかしな電話があった日の夕方、俺はパソコンのメールチェックをしながらオフィスのデスクに座っていると、受付から内線がかかってきた。
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