理人Side⑧ -2人の梨香子-

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「綾瀬常務、今、受付に藍沢梨香子様という方がお見えになっております。常務とはアポイントのお約束をされていないようなのですが、いかがいたしましょうか?」 えっ? 梨香子がオフィスに来ている? いったいどうしたんだ?  朝仕事に行くときは何も言ってなかったし、わざわざ会社まで来るということは、もしかして何かあったのか? 不安になった俺は、受付の女性に空いている応接室に通すよう指示すると、急いで梨香子のいる部屋へと向かった。 ノックもせずに、いきなりドアを開ける。 「梨香子、どうしたんだ? 何があったんだ?」 だが、そこに座っていた女性は俺の知らない女性だった。どことなく梨香子に似てる気はするが、ショートカットの知らない女性だ。 「あっ、申し訳ございません。部屋を間違えてしまいました」 慌てていたから部屋を間違えてしまったのか──。 急いで座っている女性に向けて頭を下げ、視線を合わせないようにして部屋を出て行こうとした、その時。 「理人……」 座っていた女性が椅子から立ち上がり、俺の名前を呼んだ。
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