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「綾瀬常務、今、受付に藍沢梨香子様という方がお見えになっております。常務とはアポイントのお約束をされていないようなのですが、いかがいたしましょうか?」
えっ? 梨香子がオフィスに来ている?
いったいどうしたんだ?
朝仕事に行くときは何も言ってなかったし、わざわざ会社まで来るということは、もしかして何かあったのか?
不安になった俺は、受付の女性に空いている応接室に通すよう指示すると、急いで梨香子のいる部屋へと向かった。
ノックもせずに、いきなりドアを開ける。
「梨香子、どうしたんだ? 何があったんだ?」
だが、そこに座っていた女性は俺の知らない女性だった。どことなく梨香子に似てる気はするが、ショートカットの知らない女性だ。
「あっ、申し訳ございません。部屋を間違えてしまいました」
慌てていたから部屋を間違えてしまったのか──。
急いで座っている女性に向けて頭を下げ、視線を合わせないようにして部屋を出て行こうとした、その時。
「理人……」
座っていた女性が椅子から立ち上がり、俺の名前を呼んだ。
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