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理人?
俺のことを知っている女性だったのか?
確認するように、その女性の顔を見る。
「どうしてそんなに意地悪するの? 会社まで来たのは悪いと思ってる。だけど昼間電話したのに何も聞いてくれなかったじゃない」
目を潤ませながら俺を見つめてくる。
「電話……?」
「ええ、そうよ。私ね、理人と別れてからずっと後悔ばかりしてた。理人のことばかり考えてた。やっぱり私には理人が必要だって。だから、日本に帰ってきたの」
この女はいったい誰なんだ。
俺と別れて後悔した?
俺のことばかり考えていた?
やっぱり俺が必要だ?
何のことを言っているのかさっぱりわからない。
「あの、いったい何を言われているのかわかりませんが……。私のことを知っているように話してらっしゃいますが、いったいどちら様ですか?」
俺は疑うような冷たい視線をその女に向けた。
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