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椅子に座り、今度はひとつずつ名前を確認しながら検索していく。
ほぼ、女性の名前の登録は無い中で、ひとつだけ苗字も書いていない女性の名前だけの登録があった。
「遥菜……」
この登録の女性はいったい誰なんだろう。
俺が女の名前を、それも下の名前だけを登録するなんてあり得ない。
いったいどういうことなんだ……。
「あっ、そう言えば兄貴が……」
病院で、兄貴が梨香子のことを違う女の名前で呼んでいたことを思い出した。
「確かあの時、遥菜って………」
ということは、今俺が梨香子だと思っている女性は、遥菜という女性なのか?
兄貴に確かめに行こうと立ち上がる。
だがまたすぐに座り直した。
どうして兄貴は彼女が遥菜という名前だと知っていたんだ?
それになぜ俺が彼女と暮らしていたことを知っていたんだ?
遥菜という女性だってそうだ。
俺が梨香子と呼んでいても、名前を訂正することなくそのまま返事をする。
2人が故意に俺に何か隠しているなら、真正面から聞いたところで本当のことを答えてくれる可能性は低いはずだ。
もう少し確信を持ってからでないと、かわされてしまうかもしれない。
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