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黒に近い疑惑
朝になり、カーテンの隙間からとても柔らかい陽射しが部屋の中に差し込み始める。
気怠さと頭の重さを感じながらベッドから起きてカーテンを開けると、窓の外には私の気持ちとは裏腹に雲ひとつない青空が広がっていた。
時計を見るとまだ午前6時過ぎ。
ほんとならすごく嬉しい朝を迎えてたはずだったのにな……。
結局昨日は家に帰ってきてからもあの手紙のことが気になって、一睡もすることができなかった。
やっぱり清貴は浮気してるんだろうか。
あんなに不機嫌になるっていうことは、やましいことがあるからじゃないのか。
送られてきた手紙を勝手に破いたのは、証拠を隠滅するためだったのではないか。
そんなマイナスな思いばかりが次々と浮かんできて、心から清貴を信じることができず、『妊娠』という重い言葉が胸にグサリと突き刺さったまま、涙が止まることなく溢れ続けた。
気がついたらテーブルの上にはティッシュの山が出来ていた。
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