112225人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
仕事と結婚
3月最初の月曜日。
今日からまた長い一週間が始まる。
春めいてきたとはいえ、出勤する朝のこの時間はまだ冬物のコートを必要とするくらい寒さを感じる。
駅までの道をただ黙々と歩いていると、ピンと張り詰めた冷たい空気が頬に触れ、私は思わず両手で頬を挟んだ。
仕事に行く義務感しかない月曜日の朝。
少しでも気持ちを奮い立たせようと、ほぉーと気怠く息を吐くと、白い息が煙のように空へと消えていった。
周りには私と同じようにサラリーマンやOL、学生たちが真っ直ぐに横浜駅へと向かっている。
いつもの朝の風景、見慣れた景色。
月曜の朝なんて来なきゃいいのに。
この中で会社や学校に行きたいと思ってる人は何人いるんだろう。
これも月曜になると毎週思ってしまうことだ。
そんなことを思いながら、私は通勤通学の人たちで溢れかえった駅の改札を潜り抜けた。
改札を通ったあとも人の波は一向に減ることなく、ホームへと向かう階段さえ満足に登れない。
毎日のことだけれど、この牛歩のような歩きにうんざりとしながら小さく溜息を吐く。
やっと階段を登り終えた私は、定刻通りにホームに入ってきた電車に乗り込むと、後ろから乗り込んでくる人に押し込まれながら、目の前にぶら下がった吊り革を握りしめた。
最初のコメントを投稿しよう!