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「おばさん、お邪魔しました。オムライスご馳走様でした。美味しかったです」
爽やか〜な笑顔で挨拶する蓮に、お母さんは
「そんなそんな、蓮くんは真樹のお兄ちゃんみたいに思ってるし子供にご飯作っただけよ。またいらっしゃいね」
と笑っていた。
蓮も嬉しそうだけど、蓮がお兄ちゃんで俺が弟なのは納得がいかない。
玄関先まで蓮を見送る。
といっても、蓮の家は斜向かいにあるので見送る必要はそんなにないのだけど。
「じゃあまた明日」
「うん、またね。おやすみ」
「うん…おやすみ」
少し寂しそうな表情の蓮に、やってしまった、と思う。
斜向かいにある蓮の家は、どこの部屋にも明かりが灯っていない。誰もいないのだ。
もうちょっとゆっくりしてってもらった方がよかったのかな、と考えているうちに蓮は自分の家に帰っていった。
***********
ふと、昔、蓮が言っていたことを思い出した。
誰もいない部屋が嫌い。
1人で食べるご飯が嫌い。
一緒に居て欲しい。
今度来た時はいっそのこと泊まっていってもらおうかな、なんて考えながら眠りについた。
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