21人が本棚に入れています
本棚に追加
3.
いつの間にか、いつものメンバーになった小林と上坂くんと教室で話していると「真樹」と俺を呼ぶ声がした。
ドアの方を見ると、蓮が立っていた。
「ごめん、なんか呼んでるっぽい」
そう断って、席を立つと上坂くんが「いつになく素早い動きだね」とニヤニヤ笑っている。怖い。
足早にドアへと向かう。
「どうしたの?急に」
蓮が俺の教室に来ることなんて早々ない。
何かあったのだろうか。
「んー。特に何も?」
「は?何もないなら帰れ」
心配して損した。
しっしっと手で蓮を追い払う。
てか、何もないのにわざわざ来るとか恋人かよ。
そんなことを考えて思わず顔がカッと熱くなる。
「ごめんって。何もない訳じゃないよ」
「なら何なんだよ」
赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、ぶっきらぼうな言い方になる。
「こないだ俺のご飯食べたいって言ってたでしょ?今日オムライス作るからどうかなって」
「え!オムライス!?」
「うん。来れる?」
「うん!…って、そんなことならLI●Eで良かっただろ…」
そういえばそんなことを言った気もする。
オムライスと言われて、行かないなんて選択肢はない。わざわざ聞く必要はそんなにないだろう。
「んー…だって会いたかったから…なんて。通りかかったからだよ。じゃあ後でね」
ほんのりと甘さを含んだ表情で言われ、とくん、と胸が鳴る。
すぐにいつもの表情に戻ったけど、あの顔が頭から離れない。
なんなんだあの顔…
まるで俺のこと好きみたいだ、と有りもしない勘違いをしてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!