9 親子のような

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9 親子のような

一階の一番奥の、いつも僕が陣取る左側ではなく、右側の席に二人はいた。丸井先生と小林さんだった。 話に夢中のようで、店の入り口、僕がいる方向を気にする素振りはない。談笑しているその様子は親子のようで、コーヒーショップの風景の中にあまりにも自然に溶け込んでいた。 「・・・あ、すいません、テイクアウトでお願いできますか?」 二人の姿を目にした直後、僕の口から反射的にその言葉が出た。僕の戸惑いを知ってか知らずか、「テイクアウトですね、かしこまりました」店員の女の子は爽やかな笑みを浮かべて答えた。 まるで親子のような。・・・親子? 丸井先生にお子さんがいるという話は、聞いたことがなかった。
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