13.おとなとこども

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「……わたし、純くんがすき」 「っ……、うん」 「あの、だから……っ、その、えっと」  声が小さすぎて聞き取りにくかったのか、立岡は再び明希の体をころんとひっくり返した。本当はバックで突きたかったんだけど、という彼のぼやきは聞こえなかったことにする。  正面から彼と向き合う体勢になると、明希の体は余計に強張った。でも、明希のおねだりを今か今かと待ちわびている立岡の表情を前にしたら、自然と正直な言葉があふれでた。 「純くんが、ほしい……、わたしに、純くんの……ください」  たどたどしく言い終わるやいなや、ぶちゅっという淫靡な音とともに熱り立った楔が明希の蜜穴を貫いた。  突如訪れた快感に明希は声すら出せず、目の前にあった立岡の体にひしとしがみついた。そしてそのまま律動が始まって、だんだんと思考が覚束なくなっていく。 「ひっ、ああっ! あっ、ああっ、純くん、純くんっ」 「はぁっ、もうっ……! 明希ちゃん、今の、もういっかい……っ」 「あ、えっ……? んっ、い、いまの?」 「うんっ……、いまの、『ください』って、もう一回言って」  肌と肌がぶつかる音を聞きながら、明希はただこくりと頷いた。何が彼の琴線に触れたのかは分からないけれど、あまりにも必死な顔で乞うものだから、明希は心に浮かんだ言葉をそのまま口にする。 「はぁっ、あ、ください……っ、純くんがほしいの、あっ、もっと、いっぱいっ……」 「う、ん……っ」 「あっ、あああっ! やぁ、あっ、それすき、奥ぐりぐりするのすきっ、もっと、もっとくださいっ」  普段の行為では恥ずかしさから喘ぎ声自体なんとか我慢しているのに、今日はちっとも抑えることができない。  もっと言って、という立岡の言葉に促されるように、明希は何度も彼にねだった。 「あ、はぁっ……、きもちい、純くんの、きもちいい……っ、くださ、くださいっ、もっといっぱい……っ、あ、ひあああっ!」 「はあ、もう……っ、明希ちゃん、それはずるいっ……! いっぱい突いてあげたいのにっ、そんなおねだりされたらっ、俺、すぐ出ちゃいそう……っ」 「ぅあ、あっ! はぁっ、ん、ください……、純くんの、ほしい……っ」 「ふ、っあ……っ! ごめ、明希ちゃんっ、もう、でるっ……!」  膣内に入ったままの立岡のものが、どくんと脈打った。それと同時に最奥を穿たれ、明希も声なく絶頂に達する。  愛しい人と繋がった快感と、心も体も満たされた幸福感に酔いしれながら、明希は汗ばんだ立岡の背にそっと腕を回す。そのまま強く抱きしめると、息を乱した彼もまた明希の体を抱きしめ返した。
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