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気がついた時には、ロフトから下り、部屋着から私服に着替え、バックを手にしていた。 しっかり鍵をロックして、玄関の外にある小さな箱に鍵を隠し、空車のタクシーを見つけ、片手を上げて止め、そのタクシーに乗り込んでいた。 ……お父さんが……亡くなった…… 通り魔に数箇所刺され、病院に運ばれた時には遅かった…… そんな風に説明を受けたけど、現実味がない。 父が帰って来たらパスポートを作りに行って、次の海外出張には一緒に行く約束をしてくれていた。 忙しい父だけど、私との約束を1度だって破った事なんてない。
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