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中村大和side②ー消えた玲ちゃんー
「今回の事は、何があったかを話す前に、玲から教えられた事を、話してからじゃねぇと、先に結論だけを話す訳にはいかねぇ」
拓海が玲ちゃんの事を『玲』と呼び捨てにした時、煌弥が、スマホから拓海に視線を移した。
敵と見做した鋭い瞳で、拓海を見据えている。
だけど、見据えているだけで、立ち上がらないのは、話しを聞くつもりだろう。
「俺が玲と呼び捨てにするのは、玲から呼び捨てにして欲しいと言われたからだ」
拓海は肩幅に足を広げて、後ろに手を組んだ姿勢で立っている。
『話せ』と言った煌弥の声は、地を這うような声で、瞳は獲物を狙う野獣の瞳のようだ。
「俺は『玲の敵であるアヤナミの人間の写真がないか?』と玲に聞いた。
今の時代、誰でも携帯かスマホは持っている。
それで、写真を撮れる事が、当たり前だと思っていた。
だが、玲は俺に答えた。
『どちらも持っていない。そんな物は邪魔になるだけだから持たない』と。
その後『拓海は、何もない場所で生きた事ある?』と聞いてきた。
それに対して俺は『ねぇ』と答えた」
そこまで聞いて、確かに携帯かスマホは誰でも持つもんだろうと思った。
だけど、玲ちゃんは違ったんだ。
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