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「全焼しているのは、スクレと言う名のBar。
深夜3時に、通報を受けた消防車が駆けつけ、火を消したらしい。
スクレが全焼した事と、玲が動いた事との関連は分からねぇ。
だけど、防犯カメラに、玲がその近くで足を止めた姿が映っていた」
そこまで、黙って話しを聞いていた煌弥は、リビングを出て行った。
「玲は、俺達が今まで相手した事のねぇ奴等と戦っている。
俺が最初から話したのも、俺達の考えは甘いと言う事を分かって欲しいからだ。
俺達の当たり前が、玲の中では当たり前じゃねぇ。
水が出るのが、当たり前。
電気がつくのが、当たり前。
ガスが使えるのも、当たり前。
そう思って俺達は生きているが、玲は違う。
飲む水さえ、探す事から始めていたんだ」
拓海の言葉を聞いて、俺は鈍器で殴られた感覚になった。
それと同時に、今までの考え方を、最初からひっくり返すつもりでいかないと駄目なんだとも思っていると、拓海がリビングの中を片付け始めた。
俺も涼も、ソファから立ち上がって、同じ様にリビングの片付ける。
暫くしてから『大和』と煌弥が、リビングの入口から呼んだ。
煌弥の側に行くと『俺の車だ』と告げた煌弥の後をついて行く。
何があった?とは聞かない。
聞いても答えないのが、煌弥だ。
ただ、同じ車だと言う事は、玲ちゃんの身に何かあったのは確かだ。
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