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「玲ちゃん、妊娠おめでとう。煌弥には知らせておいたからね」
助手席に座っている大和が、後ろを向いて言った言葉に対して、私は何も答えずに窓の外を見る。
すると、私の視界に入ったものがあった。
そろそろ動くと、私の中で予感はしていた。
だからと言って大和には言わない。
その日、煌蓮総本部に戻った私に烏は言った。
「産め」
烏の言葉に、私は何も答えずに烏を見る。
「逆らうてぇなら、監禁すんぞ」
私の身体を抱き上げた烏は、プライベートルームに入り、私をベッドに寝かせた。
『寝てろ』と言った烏は、プライベートルームを出て行く。
ベッドから出て、クロゼットの扉を開けると、黒のジャージの上着のポケットに、ブラジャーの中に入れていた書類を隠す。
そして、クロゼットの扉を閉めると、ベッドに近づいて寝転んだ。
私の計画を烏に知られてはいけない。
その為に、私は気分が悪いと思わせないと駄目だと思いながら、瞼を閉じる。
烏の認印は、デスクの上にいつも置いてある。
それは無造作に置いてあるから、実印じゃない事を、私は知っている。
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