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翌日の昼、1時。 シャワーを浴びると、ダボついたTシャツ一枚で下半身だけ素っ裸で彼の書斎に入った。素っ裸でいいって言われたけど、さすがにそれは気が引けて、Tシャツ一枚で落ち着いた。 「素晴らしい。最高にそそられるスタイルだな」 壁という壁を本とOA機器に埋め尽くされ、圧迫感がすごい書斎。その正面に構えた簡素なデスクとリクライニング可能な社長椅子。その椅子で膝を組んでいる彼は、ワイシャツにいつも履いてるジーパンという不思議な出で立ちをしていた。 「上半身しか映らないからいいんだ」 得意げに言う。前を手で隠しながらケツ丸出しにしてる俺は、自分が一体なんでこんなところでこんな格好をしているのかマジで意味がわからなくなって、そのまま部屋を出ようとすら思った。 ー明日の会議の間、お前と繋がっていたい。 目を輝かせた彼が俺に耳打ちしてきたのが、コレだった。会議の間、俺の中に入れっぱなしにしたいと。セックスしながら会議するってことだろ、信じられない本当に。 (それに乗っちゃう俺もどうなんだろう) なんであのときOKみたいな返事しちゃったんだろう。俺もこの閉塞的な空気とマンネリにやられてたってことなんだろうか。今更嫌ですとも言えなくて、この格好で立ち尽くしてるわけだけど。 こうして彼の鬱憤を発散することで、彼の仕事、ひいては彼の仕事の成果を必要としている世界中の人たちの役に立てるんじゃないかなんておこがましいことを思ったのもある。 「まだ会議まで時間がある、少しウォーミングアップしよう」 そっと立ち上がった彼が静かに俺を抱きしめてくる。 「なんかマジで変じゃん俺……」 彼の書斎でシたこともないし、ましてこんな格好して入室したこともない。いつもと違うスタイルが、心臓を跳ね上げる。 「ここには俺しかいないんだ、そんなに恥ずかしがることはないだろう?」 「だって会議始まったら人いるのと同じじゃねぇかよ」 「お前が声を我慢してくれたらいいだけの話だ」 「だからお前の声だけ向こうに聞こえるように設定しろっつったろ!」 恥ずかしさが一周してちょっと声を荒げた。もちろん彼はそんなことには動じない。だらしなく鼻の下をのばして俺の背中からケツまでを丁寧に撫でてくる。 「いいな、本当にセクシーだ。これだけでもう十分興奮する」 そう言われながら俺の中にも確実に興奮が忍び寄ってきているのを感じて、求めに応えるみたいに彼の広い背中に腕を回した。 「最高に気持ちよくしてやるから安心してくれ」 左耳の裏あたりにそっと囁かれた。左半身の鳥肌がヤバい。 「ムードもへったくれもねぇよな」 強がって言ってみると、直後唇を奪い取られる。 「そうか? 俺はお前のスタイルとシチュエーションだけでだいぶ興奮しているが」 腕を彼の胸に押し当てるみたいにして距離を取ろうとしたけど、彼はびくともしない。 「仕事場でヤるのは理解できないとか言ってただろ」 仕事とプライベートをきちんと割り切っている彼は、常々そんなことを言っていたのだが。 「ああ。オフィスで関係を持つのは理解できないが」 そっとTシャツの裾から手を入れて背中を撫でてくる。 「ここは今は仮のオフィスではあるが、家の中だからな」 なんて都合の良いことをぽろっと口にして、その口で耳の裏から首筋まで舐め辿る。 「まぁいい、目的を遂行することが今は必要だ」 早くも脚から崩れ落ちそうになる。彼の腕がそれを許さない。彼の唇は首筋で一度止まり、鎖骨を軽く噛んだ。 「あっ、ん」 この時点で声を隠せない。手の甲で口を塞ぐと、彼はもっと鳴かせるみたいにそっと俺の下半身に触れてくる。 「こいつの緊張もほぐしてやらないとな」 「っ」 片手の手のひらに収めると、指をばらばらに動かして揉んでくる。内股になってもじもじしてしまうのも構わず、彼の指は止まらない。 「や……あっ」 彼の腕にしがみつく。その指の力にすら、彼はニヤニヤしていた。 「ハニー、椅子に座ってくれ」 今さっきまで座っていた、社長椅子を見ながらいう。この部屋に椅子はそれしかない。 言われた通りに従うと、脚を肘掛けに乗せるように指示された。 「その方が奥まで触れられる」 行為に際して、いつも俺の先端からケツの奥まで触れることを望んでいる彼のこと、なんとなくそういう姿勢を求められるだろうと想像はしていた。だから拒むことなく椅子に腰掛けて、脚を広げた。腰が深く沈み込むソファタイプの椅子は、俺の体をしっかり受け止めてくれる。 「これでいい?」 彼に全部さらけ出す体勢をとった。それこそいつもお世話になっているサロンの担当サンも、自粛でうちに来られなくなったから、下の毛の処理は最近自分でやっていた。あまり綺麗じゃないかもしれない。 椅子の前に膝をついた彼は、手でそっと俺の膝に手をおいて脚を開かせた。 「ハニー、サロンがまた開店するまで、俺がここの処理をしてやる」 風呂入ったときに彼の目の前でやっているから、もちろん自己処理をしているのを知っている。 「なに、処理下手だった?」 「いいや、とても丁寧に行えている。俺がやってやりたいだけだ」 「間違って切らないならいいよ」 「もちろんさ、丁寧に仕上げてやる。宝石職人だった腕を知っているだろう?」 俺の薬指に鎮座している、既製品と見間違う出来の指輪を作ったのも彼だし、彼自身の薬指のそれも彼の手作り。腕の良さと繊細さはよくわかっている。 「じゃあ期間限定で。よろしく頼むわ」 「ああ、まかせておけ!」 とりあえず今は行為に集中したい。なんだか口寂しくて指を噛むと、見上げた彼がニンマリと笑って、最高にそそられる仕草だと呟く。 「指噛んだだけなのに」 だいぶ艶っぽい気持ちが優ってきていて、さらに彼を刺激するようにうっすら微笑む。 「それがいいと言っているんだ、随分俺を刺激してくる」 「俺に興奮するのはお前しかいないからな」 「そんなことはないだろうが、俺だけにしてほしい」 言いながら、彼の頭が俺の剥き出しの下半身に埋もれていった。 「あ……っ」 慣れているはずなのにシチュエーションのせいなのか、舌先が触れただけでちょっと痺れるくらい感じる。7分目くらいに反応してる下半身を、彼の舌と指先が丁寧に撫でてくる。 「んんっ、ん」 今度は指を噛まずに、甘ったるい声を彼の頭上から浴びせ続ける。あえて彼の興奮を煽りたくて、俺なりの演出のつもりだった。 俺が喘ぎ続けると、それに応えるように彼の舌や口腔内の熱量、刺激、指の動き、全部が少しずつ強く激しくなってくる。 「あっ、そこダメ……えっ」 すっかり反り返った下半身の根本から先端に向かって、厚い舌が辿っていく感じが本当にたまらない。それこそ今まで遊んだ女とか大人のおもちゃとか、いろんなものに刺激されてきたけど、彼の舌や指先が一番気持ちいい。この先ずっと彼とこの刺激に抱かれ続けるんだと思うと、自分が世界で一番幸せ者なんじゃないかって感じるから不思議だ。 彼の刺激は連綿と続いて、どれほど舐められ続けたものか、頭がぼんやりとして時計を見ることも考えられなかった。 「ハニー、そろそろ会議の時間だ」 そう彼に言われなければ、椅子をギシギシ言わせたまま延々と喘ぎ続けていたに違いない。 「っ、かいぎ?」 咄嗟にわからなくて尋ね返したけど、すぐに正気に戻った。 「あっ、かいぎ、ん……」 彼が少し体を離したのをきっかけに、そっと足を下ろす。 「すまないが、少し舐めてくれないか」 興奮から声を硬らせた彼が、体を起こした俺にそっと自身の下半身を握らせる。ジーパンのボタンを寛げて曝け出した格好だった。先端が少し潤んでいるだけで、全体が濡れているわけではない。俺の穴は奥まで彼に湿らされた状態だったから、彼の方も潤滑にしておかないと。髪を軽くかき上げてから、立っている彼の前にしゃがんでそっと口に含む。 「ん……いいな」 彼が俺の髪を指に絡めながら、深く息を吐いた。 「舐められる度にお前の腕が上がっている気がする」 うまくないだろうに、彼はいつもそうやって褒めてくれる。お礼を言う代わりにひたすら舌を這わせ続けた。 「んはぁ」 ソフトクリームを舐めるみたいに、優しく丁寧に舐める。もともとしっかり立ち上がっていたのが、みるみる硬直していく。 「ハニーの舌は魔法がかかっているようだ」 突然可愛らしいことを言う。 「すぐにコイツをその気にさせる」 そっと髪を撫でながら、自分の逸物を持って俺の頬に擦り付ける。 「もういいのか?」 彼を見上げて尋ねると、ふわっと微笑みながら頷く。 「もうそろそろ本番だからな」 本番て。露骨な言い方をする。彼は俺を立たせると、デスク下に這うように指示をした。
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