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あれは私が26歳の時のことだった。
田舎育ちの私には不馴れな都会のアパートで、彼氏の拓哉と同棲生活をしていた。拓哉とは会社で知り合い、付き合って3年。お互いのことは隅々まで知ってると自信がつきだしたその頃、遂に拓哉から正式なプロポーズをもらった。
「由奈、そろそろちゃんと籍を入れよう。
俺と結婚してくれないか?」
その拓哉の言葉は一生忘れない。
返事は勿論「喜んで!」を即答した。
友達や家族に報告。喜んだ両親はすぐに顔合わせをセッティングし、結納はこうしよう結婚式はこうしようと、話はトントンと弾んだ。
私には兄もいるが、いつまでも独身で自由に暮らしている兄には結婚のけの字もない。親は「娘だけでも早くしろ」と言わんばかりである。
この時も、私が実家に帰ると母はウキウキしていた。
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