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腰を抱かれ、追い込んでくるような舌の動きに息が上がる。
『りゅっ…ちょっと…まっ…』
キスなんかで誤魔化されないんだから。
上半身を反らしながら逃げ腰になる私の後頭部に手が回され、深い絡まりは終わらない。
隆二さんは私を冷蔵庫の扉に押し付けて、腰を密着させながら情事のようなキスを繰り返した。
キスなんかで……
「……なぁ…家出の理由は?」
重箱を見て家出に至るまでの流れを説明しろって耳元で囁かれ、その色気をまとった声が身体中に流れ込んでくる。たまらず隆二さんの腕を掴んだら、今度は服の中にするりと手が入ってきた。
素肌を撫でられ、隆二さんはしばらく服の中で手を遊ばせる。
「………言えよ」
艶っぽいキスは止まらず、私の身体からどんどん力が抜けていく。
キスなんかで……
『いっ……言うっ……』
結局、誤魔化された私。
降参した私に、隆二さんは髪を撫でようやく解放してくれた。後でゆっくり聞くからって言って、置いたままになっていた瓶ビールを手にバスルームに消えていった。
隆二さんが出た後、私もお風呂にはいり、湯船に浸かりながらマッサージしたけれど、どうしても脚の疲れが取れない。
ベッドの上でクリームをたっぷりつけて足裏からふくらはぎに向かってマッサージをしていると、寝る準備というか…尋問の準備を整えた隆二さんがミネラルウォーターを二本持ってやってきた。
『…寝ますか?』
「……なんでだよ」
小さく声を出して笑いながら隆二さんがベッドに上がってきた。移動するたびに軋むベット。その音が私の足元で止まった。
「……貸しな」
隆二さんはクリームをたっぷりと手のひらに出して、それを両手で擦り合わせた。私の脚を持って、吸い付くようにその手を滑らせた。
『また痛くするんでしょ~?』
質問に答えない隆二さんは、その代わりに絶妙な力加減で脚を揉む。
『……気持ちいい…』
私は枕を抱きながらヘッドボードに寄りかかった。
「……で、どうした?」
『reiさん…』
「……重箱女?」
重箱女って…、
『たぶん…隆二さんのこと好きなんだと思う。相手がいても関係ないって言ってた』
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