相当な女

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隆二さんは、私の肩に顎を乗せたまま、一冊、一冊、本をしまい続けている。最後の一冊になった時、お腹に巻きついていた彼の腕に力が入った。 「……イチャイチャっていうのは、こうするんだよ」 低く、濡れた声が身体の奥に響き、あらゆる神経を刺激してくる。耳たぶへのキスに驚いて、覗き込むように顔を横たえる隆二さんと目が合った。 彼は、綺麗に唇の両端を持ち上げて、不敵な笑みを浮かべていた。 『りゅっ…』 キスで塞がれた唇。息苦しくて新鮮な空気を求めて唇を開くと、彼の舌が私の反応を確かめるみたいに絡んできた。 甘い、甘い、彼の舌。 つまみ食いしたクリームの味が残る、彼の舌。 彼とのキスに夢中になって、すっかり隆二さん流のご機嫌取りにハマった私。これ以上はできないのに、まるで先を期待するかのように私は彼を見つめた。 隆二さんは、色っぽく伏し目がちに視線を足元に落としてから、もう一度私を見つめた。吸い込まれそうな漆黒の瞳の奥が、火がついたように揺らめいていた。 『…ちょっ……隆二さ…待って……っ…』 ふくらはぎに触れる彼の手のひら。感度を上げるように肌の上を滑り、スカートをたくし上げながら太ももの内側を指が這う。 これから彼が何をしようとしてるか直ぐに理解出来た私は、慌てて両脚を閉じた。 『…ダメ……』 家の中にはshinさんとreiさんがいる。家主が二人揃ってゲストルームから出てこないなんて絶対にダメ。 小声で制止を促すけど、隆二さんはお構い無し。 「……ドア、開いてる」 それは、声を抑えろっていう甘やかな命令。 私を抱えるように腕を回して、その腕の先の手のひらで口元を塞がれた。 顔が傾き、露わになったうなじに生温かな彼の舌が触れた。思わず掴んだ隆二さんの腕。私の神経がうなじに集中している間、力が抜けた両脚を隆二さんの手のひらがのぼってきた。 待ってと顔を横に振る私の事なんて気にもせず、するりと下着の中に滑り込んできた指先。 ゆるゆると表面を擦られ、息も顎も上がる。熟れた果実のようにぷっくりとした丸みを割り開くように上下に動き、徐々に徐々に、身体を侵食していく。 第一関節、第二関節、ナカの感触を確かめるように埋め込んでいく。その先にある奥深いポイントを的確に突いてくる中指は、さっき彼がクリームを掬い取った指。 引き抜いて、濡れた指先を隆二さんは躊躇いもなく自分の口の中へ。余す事なく転がして、仕上げに唇をペロリと舐める。 美味しいモノを食べた後みたいな満足げな表情が色っぽすぎるて、私の体温は跳ね上がった。
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