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夕飯の後片付けを終えた真由子がお勝手から戻ったところを見計らい、浩司はちゃぶ台の下から包みを取り出した。
「本当ならレストランとかホテルとか、もっとマシなところで渡したかったんだけど……これ……」
丁寧に包装されリボンまでかけられている小箱を浩司は真由子の前に置いた。
「……開けていいの?」
「プレゼントだから、真由子の好きにしていいよ」
照れてわざとぶっきらぼうに話す浩司とは対象的に、真由子は頬を紅潮させ期待と不安の入り混じった顔で包装紙を破かないようにゆっくりとつつみを開けた。中にはテレビドラマでよく見る小箱が入っていた。そして緊張の面持ちで小箱を開けた。
「……きれい……。これ、ダイヤ?」
「本物だぞ。鑑定書も入ってるだろ」
「うん……。え、私に?」
「プレゼントだって言っただろ」
「うん……。ねえ、これってもしかして……」
「給料の3ヶ月分……まではいかないけど、まあ、そう言う事だ」
「そう言う事って何なのよ〜」
「だからそう言う事だよ」
「はっきり言わなきゃ分からない!」
「分かるだろ。もう付き合い長いんだから」
「分かんない! 言ってくれなきゃ分かんない!」
「分かれよ」
「分かんない!」
しばらくそんなやり取りをしていたが最後は浩司も観念し「結婚しようか」とボソッと言った。その後は真由子の嬉しさが爆発し、浩司は真由子に押し倒され怒涛のキス攻撃を受けたのだった。
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