チョコレート・プラリネ・なんとか

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「ラテふたつ」 今日も彼はそう言った。 店内でお召し上がりでしょうか。ホットのショートサイズでよろしいでしょうか。女性店員がいつもの受け答えをする。 ――どうして。 突然、疑問が胸の中に差しこむように芽生える。 どうしていつもラテと決めつけるのだろう。 どうしていつも同じラブホテルなのだろう。 どうして木曜日だけなのだろう。 「すみませんっ」 口が勝手に動いた。 レジを打ちこんでいた店員が顔を上げた。彼も財布を開こうとした手を止めて視線をよこす。 「あの私、やっぱりあの、これにします。チョコレート……アーモンド・プラリネ・フラペチーノ」 自分でも驚くほどの反射神経で、私はレジ脇の立て看板を指した。最近いつも視界の隅に入っていた新メニュー。 そうだ、彼と付き合う前の私は期間限定のフラペチーノを心待ちにするひとりの少女だったのだ。 彼と初めてこのスタバを訪れたときは子どもっぽく思われたくなくてラテを頼んだけれど、本当はフラペチーノが好きだ。ホイップクリームが、チョコソースが、フローズンコーヒーが大好きだ。
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