チョコレート・プラリネ・なんとか

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チョコレート・プラリネ・なんとか

「ラテふたつ」 レジの順番が来ると、彼は今日もためらいなくそう言った。 言葉を放つと、あとは店員と目も合わせずにうつむいて財布を取りだす。見慣れた一連の仕草。 緑のエプロンをきりっと締めた若い女性店員が、ホットのショートサイズでよろしいでしょうか、といつもの調子で確認する。私たちのことを覚えているのだ。 来店前に私たちが何をしているかまでは知られているはずないのに、このいつものやりとりに接するたびにかすかな羞恥が身の内に湧く。 もうすぐ付き合って9ヶ月になる彼は、サークルの先輩だ。 互いの授業もサークルの活動もない毎週木曜日の午後、私たちはそれぞれの友人たちと学食でお昼を済ませたあと、校門前で落ち合ってホテルに向かう。 校内ではいわゆる公認カップルというやつなので、「誰かに見られたら」という甘やかな心配はない。 行き先もいつも同じ。大学前から下り方面の電車に乗って四駅先にある、小さな冴えないラブホテルだ。 「ご休憩」をした帰りに駅近隣のこのスターバックスに寄ってスターバックス・ラテを飲むまでが、まるで木曜の午後のルーティンワークのように習慣になっている。 お互い実家暮らしで、互いの親は男女交際にそこそこうるさいため、お茶したあとは大抵それぞれの家に帰る。
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