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アプリを開くと、名前、居住地、受けか攻めか、恋人募集か、セックスは可能かなどを書き込んだプロフィールが、男達の写真とともにズラリと画面に並んでいる。
肇はある男性の写真をタップし、プロフィールのページに飛んだ。ダイレクトメールを送り目的地に着いた事を伝える。
時刻は9時。そろそろ約束の時間だ。
行き交う人の流れに目を凝らすと、流れに翻弄される落ち葉のようにくるくると回転しながら誰かを探している風の人物を見つける。
ハリーポッターシリーズの主人公のような、癖のある黒髪に丸い眼鏡。周りの人間より5センチくらい背が低い。そして目印の深緑の半袖Tシャツ。
今夜の相手はたぶんコイツだ、と直感する。
BGMに耳を傾ける。ダニエル・パウターのアルバムは次の曲に移っていた。
ーーーハリーポッターに似てるし、ダニエルでいっか。
勝手に渾名をつけるのは肇の悪癖だ。
初対面の相手に失礼極まりないが、肇は特に気に留めていなかった。
彼はいつも一夜限りの相手を探している。
そしてその相手とは、ほとんどの場合、二度と会うことはなかった。
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