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「じゃあそれで」
「うわっ、ちょちょちょ・・・」
肇は慣れた様子で服を脱ぎ出すが、ダニエルは慌てふためく。
肇は苛つきをため息と一緒に吐き出した。
そしてイヤホンで聞いていた曲を頭の中で再生させる。イントロの繊細な和音が心を撫で付け平坦にしていく。
やはり音楽は偉大だ、と肇はダニエルに向き直る。
「ハイハイ、そこに寝て」
指差された先はベッドだ。
「もう面倒だから、俺が全部やるわ」
え、でも、とダニエルは尚も戸惑いを見せる。もういいや、と肇は余計な労力を使うのをやめた。
棒立ちのままの相手の頭を引き寄せて強引にキスをする。ダニエルは目も唇も閉ざしていた。それにまた苛立ちを覚え、喉元に噛み付いた。
水面から顔を出す時のようにプハッと口を開けた瞬間を狙って舌をねじ込む。
ダニエルは舌を押し戻そうとするが、肇は後頭部を掌で掴んで顔を押し付けた。
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