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「今の、阿頼耶識か?まさかお前、志士か?」
男は頭を抱えて笑い出す。
夏葉はそんな男に不用意に近づくと手に持った鉈で今度は首を跳ねようと横に振るう。
鉈が首に当たった瞬間、鉈の刃はへし折られた。
男は夏葉の腹部に回し蹴りを放つと、夏葉はぶっ飛んでいく。
「姉さん!」
倶盧蜜は叫び、体に無理矢理に力を入れて夏葉に駆け寄った。
「姉さん大丈夫!?」
「どいて!」
倶盧蜜は突き飛ばされ、男の蹴りを夏葉は折れた鉈で受け止める。
鉈は簡単に弾かれ、成す術は無くなった。
男は倒れている夏葉の髪の毛を無雑作に掴むと引っ張り上げる。
「あうっ!」
男は屈むと夏葉に話し出す。
「偶然…って訳じゃなさそうだが…。不気味な女だな。だけどよ、お前は根っからの阿修羅だ。気に入ったぜ?俺の名は外苑ってんだ。お前は?」
外苑と名乗った男は掴んでいた手を離す。
夏葉は名乗ることはせず、睨み付ける。
倶盧蜜は夏葉に近づき、後ろから抱きしめる。
その姿はこの男に大切な姉を渡すまいと訴えていた。
外苑はぽかんとし、そのあと膝を叩きながら大笑いした。
腹を抱え、転げ回る。
その姿は明らかに馬鹿にしている。
先ほどの雰囲気と打って変わって恐怖が少し薄れていく。
話せばわかる奴なのか?
「なんだ、お前もいいなぁ!よしよし、お前ら見逃してやるよ。じゃあな」
外苑はひらひらと手を振りながら去ろうとする。
夏葉が持つ鉈を取って、外苑に向け構える。
「待て!お前は一体何なんだ!?」
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