0人が本棚に入れています
本棚に追加
こんな事しなければ見逃してもらえたのに、自分から死ぬような行動をとった自分自身驚いていた。
夏葉は固唾を飲んで見守っている。
夏葉自身も限界なのだ。
「あ?俺が、何者かだって?いいだろそんなもん。…ん〜、そうか。お前は話を読むために設定を大事にする性格か。よしよし、よぉくわかった。お前等はいい感じだからよ。本物の志士が来るまでの間教えてやるよ。おい、その女連れて家に入れ。俺も目立ちたくはねぇからよ」
外苑は子鹿や父達の死体を無雑作に家の中に放り入れる。
そして倶盧蜜たちに手招きしている。
覚悟を決めて夏葉を背負い家の中へと入っていく。
外苑は子鹿の死体で火を起こし、扉を閉めた。
「ほら、そこ座れ」
自分の家なのに、外苑と自分たち立場が逆転している。
「さて、どう話したもんかな。俺の名前は言ったし…。そうだな。俺たちの種類から言おうか。お前ら神堕って聞いたことあるか?」
「かみおち?」
倶盧蜜は疑問を浮かべるが夏葉は違う意味で顔が引きつっていた。
「化物ってことよ。神堕は」
「そう、神に堕落すると書いて神堕だ。そこの女が言うように化物だな。お前たち一般的な人間からしたら別種。そうだな、神種とでも言おうか」
「傲慢ね」
姉は力の差など恐れずに物を言う。
倶盧蜜はそんな風で大丈夫か?と冷や冷やしている。
でもそう思う自分が情け無いとも感じた。
「そりゃ傲慢になるさ。お前らとは違うんだからよ。俺ら神堕は異能を持つ。人理の外の技さ。でも人間は弱いだろ?弓矢や剣、その鉈だって、動物の爪や牙を模倣した結果だ。単体じゃ自然で生き残れない。だから俺たちがその上に来るのは当然のことさ。食物連鎖で人間は食い物なんだからよ。まぁ、こんな嫌味を言うたために俺の貴重な時間を使っている訳じゃねぇ。おい女、お前俺を殺したいか?」
「うん」
「は!即答かよ。いいねぇ。お前は?」
倶盧蜜は答えられなかった。
もちろんこの男は許せない。許せないけれど、だからって殺すとかそんな事、考えられなかった。
何も答えない倶盧蜜を見て外苑はため息をついた。
「まぁいいや。お前たちに力の付け方を教えてやるよ。俺の天敵となる力をな。阿頼耶識って言うんだが、これは心の有り様のことでな。脳のリミッターを外すんだとよ。普段お前たち人間は脳を抑制して生活してる。昔のように野生の本能バリバリだった時代じゃあ限りなく解放できてたが、理性を身につける事によってその脳力を抑制してきた」
最初のコメントを投稿しよう!