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外苑の話はつまり、その脳の抑制を解放することがリミッターを外すと言う事らしく、その技を総じて阿頼耶識と呼ぶのだと言う。
阿頼耶識を使い、神堕を倒す者を志士という。
それら志士が所属しているのがまだ世間ではあまり知られていないらしく、秘密組織と言ったところだろう。
それが神狩藩。
「神狩藩に行けば神堕と闘うための力もつけられるし、道具やらなんやら貰えるだろう。それで俺を殺しに来ればいい。ここから近いのは番協街か。その近くに確か居るはずだ。さてと、俺はさらなる力を得てお前達を待つぜ?」
外苑はニヤリと笑う。
夏葉は立ち上がり、家を出ようとする。
倶盧蜜はそれを引き止めようと手をつかんだ。
外苑は気にしていないようだったが、止めても行こうとする夏葉に声を掛ける。
「おい。お前たちは一応俺の獲物だ。だから一つこれだけには気を付けとけよ」
外苑はそう言って左手の甲を見せてきた。
そこには黒文字で大きく亖刑と書かれている。
「俺らの中にはあるお方からその実力を認められ拾の刑罰と呼ばれる称号が存在する。つまり、この世に10体のとんでもねぇ奴らがいるって事だ。ま、俺もその1人だがよ」
夏葉は掴まれている腕を逆に掴み返し、猶を連れて家を出て行った。
しばらく離れてから倶盧蜜は叫んだ。
「姉さん!ちょっと待ってよ!父さんは?母さんは?嬉々や牡丹は?みんな死んでる!なんで、なんでこんな事に!ー」
頬に痛みが走った。
姉がぶったのだ。
今までぶつ事なんて無かったのに。
そんな姉に倶盧蜜は変わったのだと知った。
今自分たちが置かれている状況をしっかりと理解した。
我がままが通らないこれからの生活に耐えられるだろうか。
これを理解することがこんなにも怖くて、どうしようもない不安に心掻き乱されるとは露知らず、駄々をこねてしまった。
姉の心境を察すれば自分もしっかりしなければいけない。
そう、僕らはまだ子供なのだから。
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