66人が本棚に入れています
本棚に追加
「花梨ちゃん、ジャムできたよ」
春に咲いていた花は緑色の大きな実をつけた。そして、ようやく黄色く熟したのだ。それを収穫してジャムを作ったのだそうだ。綺麗なオレンジ色だった。
パンを焼いて、ジャムをつけて食べてみたら、甘酸っぱくておいしかった。
おいしいね、と言いながらも彼は、また寂しそうな顔をしていた。
「私、あなたのことが好きです」
笑顔でいてほしかったのかもしれない。向かい合って座ったまま、私は告白していた。
「カリンの花言葉、知ってる?」
彼は目を伏せたまま話し出した。
「唯一の恋っていうんだって」
最初のコメントを投稿しよう!