拝金主義的狂人

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 朝まだき、俺は人目を忍んで出かけ、今、新穂高の湯に独り浸っている。  有難いことに無料の露天風呂だ。  その横を流れる蒲田川は清流と呼ぶにふさわしく岩に当たっては砕ける飛沫の粒が悉く朝日を浴びて薄紅色に化粧され宝石の波となる。  その錦の自然の産物を眺めていると、早起きは三文の徳という諺が脳裏に浮かび上がり懐の寂しい俺にとっては妙に胸に響いて来る。  ところが、三文どころの騒ぎじゃないことが起こった。
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