少し意地悪

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ゆい♀ 家事が苦手。明るく、甘えん坊。 直弥♂ ゆいより年上の彼氏。     頭がよく、ゆいをよくいじっては楽しんでいる。 ゆい ただいま。 直弥 おー、おかえり。 ゆい いいにおいだね。今日のご飯、何。 直弥 んー、風呂ふき大根と、ほうれん草の和え物と、とりの照り焼きだ。 ゆい 相変わらず直弥は料理上手だね。 直弥 誰かさんが、「料理は苦手だぁ」って泣き言を言うし。 ゆい うっ。 直弥 洗濯物も溜めるし。 ゆい ぐっ。 直弥 髪が長いから髪の毛よく落ちてるし。 ゆい ぐはっ。 直弥 さらには、残業当たり前の会社で働くんだからな。 ゆい そ、それは、しょうがないじゃん。 直弥 そうだな。ま、おつかれ。 ゆい んっ。(直弥に抱きつく) 直弥 こら、早く着替えてこい。スーツにニオイがつく。 ゆい ん。  間 ゆい いっただきまーす。 直弥 いただきます。 ゆい ……うっま!この照り焼き好きだわ。    直弥はやっぱりあたしの好み分かってるね。 直弥 どうも。こっちはどう? ゆい うん、最高!あたし大根とかあんまり好きじゃなかったんだけど、    直弥が作ってくれる味付けならいくらでも食べられるわ。 直弥 そりゃ、3年も付き合っていれば好みくらいわかるようになるわ。 ゆい 3年かぁ。なんかあっという間だね。 直弥 そうだな。このアパートに来てからもだいぶ経つんだな。 ゆい 二人で引越しの荷物運んだ時に、直弥が冷蔵庫と壁に挟まった時は    爆笑したね。 直弥 いや、あの時はマジで『笑ってないで助けろよ!』って思ったわ。 ゆい だって、今まで聞いたことのない直弥の声が聞けて楽しかったんだ    もん。 直弥 あの時の恨みは一生忘れねぇ。 ゆい じゃあ10年後にまたこの話するから覚えておいてね! 直弥 ふっ、わかったよ。 ゆい そういえば、同じ課のみっちゃんが、彼氏と付き合ってから今年で    3年目なんだって。 直弥 へぇ。 ゆい 『3年目の記念日に何しようかな』とか、    『どこに行けばいいかな』とか聞いてくるんだよ。 直弥 ふーん。 ゆい それで、あたしは、『最近、隣町に新しいケーキ屋ができたから    食べに行けば。』とか『時間があるなら相談して遠出するのも    悪くないと思うよ。』って言ってみたんだ。 直弥 へぇ。 ゆい たださ、みっちゃん、『3年目だから不安。』とも言ってたんだよね。 直弥 なんで。 ゆい みっちゃんが言うには、『男の人は3年付き合うと浮気したり、    別れたくなったりする心理があるみたい。』ってことらしい    んだけど。直弥は、どう思う。 直弥 ……。 ゆい あたしはそんなことないと思うんだよね。    だって、直弥はずっとあたしのそばにいてくれるでしょ? 直弥 ……さぁ。どうだろうな。 ゆい え。 直弥 オレも身の振り方を考えなきゃいけないなぁ。 ゆい それって、どういうこと……。 直弥 ずっといられるかなんてわからないって言ってるんだ。 ゆい ……なんで、そんなこと言うの。 直弥 3年目だから、もっとこの先のこと、考えていきたいんだよ。 ゆい え、直弥、それ本気で言ってる。 直弥 うん、本気。 ゆい い、いやだよ、どうして、そんなこというの。    あたし、何か悪いこと、した。    ご飯とか、家事とか任せすぎたかな……    靴下、裏表逆のまま、洗濯に出したとか……。 直弥 あ、心当たりあるんだな。 ゆい ……直弥、ずっと優しいから……あたし、甘えてた……。    ごめ、あたしもっとちゃんとするから……っ。 直弥 あー、悪かった悪かった、泣くな、泣くなよ。 ゆい ……ふっ……え。 直弥 ……ちょっといじめ過ぎた。悪かったよ。    ……何も別れるとは言ってないだろ。 ゆい え……。 直弥 ちょっと落ち着け。ほら、ティッシュ。 ゆい ん。  間 直弥 3年目ってのは、もしかしたら、多くのカップルにとって    何か節目みたいなものなんじゃないか。    だから、意識する人が多いってだけだと思うぞ。 ゆい そ、そうかな。 直弥 あぁ。さっきの、ずっとそばにいられないっていうのは、    オレもいつ死んでしまうかわからないってことだから、    できるかぎり精いっぱいお前といたいわけ。    言っている意味わかるよな。 ゆい うん。 直弥 身の振り方ってのも、どうしたらもっとお前を幸せにできるか    考えてるってこと。 ゆい へ……そ、そういうこと…… 直弥 あと、これからのことも、このままじゃ、ゆいが残業続きで    しんどいだろうから、仕事変えるとか、あとは一緒に住む家を    考えるとか……いろいろあるだろ。 ゆい え……あ、じゃああたしの……勘違い……。 直弥 まぁ、オレが勘違いさせたんだけどな。 ゆい ……は。 直弥 こんなに簡単に引っかかってくれるとは思わなかったよ。お前、本当にオレのこと好きなんだな。 ゆい ……っ、あーーーもう!直弥のバカ!! 直弥 だから悪かったって。    ……こんなに素敵な恋人、手放すわけないだろ。ずうっとな。 ゆい 直弥のバカ……。 直弥 2回も言うことないだろ……。 終
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