禁忌

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禁忌

 それは余りにも恐ろしい考えに違いなかった。しかし雅之は、己のそのおぞましい計画に、背筋のぞくぞくするような魅力を感じた。それは抗い難い力で雅之を支配した。  立ち竦んだままのみすずの身体をベッドの方に突き飛ばした。きゃっ、と先程までとは打って変わったか細い声とともにみすずはベッドに倒れ、スプリングのせいでその華奢過ぎる肢体が何度か跳ねた。ジャケットがはだけ、再びその未発達な乳房と、淡い茂みがルームライトの光に晒された。 「望みを叶えてやる」  静かに、ゆっくりと雅之は言った。 「えっ?」  みすずが頭を少し上げて、雅之を試すように見た。一つとして同じ貌を見せない娘だった。蠱惑的な小さなけものだった。その眼で見られると心に疼くような痛みがあり、雅之はその事に寧ろ驚いた。
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