悪友

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悪友

 急き立てるようなみすずの声に、雅之はそう言うのがやっとだった。 「なによ。怖いの?買う気だったんでしょ?怖じ気づいたっていうの?」  違う、と雅之は声に出しそうなところを堪えた。違ってはいない。そういうものだと十分に承知の上で、登録したのだった。  そのアプリを雅之に教えてくれたのは大学のひとつ上の先輩である佐分利だった。一介のサラリーマンである雅之と違い、今はフリーでイラストレーターをやっている佐分利は学生の頃から要領がよく遊び上手で、面倒見も良かったから色んな所に連れて行ってもらったものだった。
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