悪友

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 この景気でも仕事が途絶える事はないようで、忙しくしているというのはSNSを通じて雅之も知っていた。金回りも良さそうで、たまに気まぐれのように行われる個展に行くと、大抵は傍らに若く美しい女が寄り添っていた。同じ女の事もあれば、違う女の事もあった。俺は飽きっぽい性質なんだよ。佐分利はよく雅之にそう言っていた。その都度、飽き性である事よりも、自分に靡く女が一定数いるのだという事を自慢されているような気分にもなり、較べるものを何も持たない自分の、男としての価値が無いようにも思われた。  久々に時間が合い飲みに出た時に、行きつけのジャズ・バーのカウンターで佐分利は、これから悪戯をする子どものような顔でスマートフォンの画面を雅之に見せた。  若く、美しい女性が笑顔で写っている画像に絵文字が混じった文章が添えられている。  怪訝な顔の雅之に、その悪戯顔を更に笑みで広げて、佐分利は言った。
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