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「相変わらず堅ぇなお前は。出会い系って言えば分かるかな。今はこんななってんだよ」
佐分利は手元で幾つか操作して、違う画面を雅之に見せた。SNSに似たテキストのやり取りに見えた。ハートが幾つか並んでいる。
「先輩、そんなのやってるんですか」
雅之には不思議に思えたのだ。佐分利ならこんなものを使わずとも、若い女性には不自由しない筈だ。
佐分利はしめしめという顔になって、雅之の背中をどやしつけた。
「お前に教えてやろうと思ってさ。こんなのでもほいほい寄ってくる娘っているんだな。遊びよ、遊び。人生一度きりなんだからさ」
その言葉は自分をどこか馬鹿にしているようにも思えて、雅之はグラスのバーボン・ソーダをぐっと飲み干した。
「お、いいね。やる気になった?このアプリな、『アダムの林檎』って言うんだ、ヘンな名前だろ?」
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