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ついに、ベルヴァンド王にカルサイトの剣舞を披露する日が近づいてきた。
あれからステラは、キースとグレインに他の部隊に加入したカルサイトの新人騎士見習いの名前を調べてもらっつていたが、リーディとコウの名前はなかった。
・・・どういうことなの??
ステラは落胆した。
キャロルに、二人はきっと城の中にうまく忍び込めているはずだ、と慰められながらも彼女は納得がいかなかった。
ともあれ、キース隊長、グレイン隊長のところに一人ずつ。あとは第四番隊(ユリエル)と、第五番隊、第六番隊に所属しているらしい。
ステラはキース達に二人の身体的特徴を簡単に告げたけれども、見習いのうち金髪の男
は二人いるとのことだが…あとは黒髪の男のみだと。(キースのところに所属と相成った
見習いは黒髪の男だった。)
―その金髪の二人のうちの一人が偽名を使っていたリーディとは、彼女は結びつかなかったのだ。
☆ ☆ ☆
そして当日。
外の演舞場(コロシアム)の一番高い演壇に、たくさんの警備に囲まれてベルヴァンド王が登場した。漆黒の長髪に、年老いているが屈強な肉体が垣間見える。
一方で、それぞれの隊の侍女は従者と共に演舞場の袖にいた。
当然ステラとキャロルもである。
「ここからだと大分離れているけど、あそこにベルヴァンド王が・・・。」
ステラははるか数十メートル先にある演壇を見上げた。無論ここからだと護衛に囲まれて姿は見えない。
演舞場にてカルサイト騎士たちが騎士団の制服を身に着けて、一堂に隊ごとに整列する姿は圧巻だった。
ステラとキャロルは、リーディとコウの姿を探したが何せ演舞場に80人ほどの選ばれし騎士たちがきちっと整列しているので
見つからず・・・。二人はいったん諦めて剣舞を静観することとした。
☆ ☆ ☆
しばらくして、始まりの合図であるトランペットのファンファーレーが鳴り響く。
終了後にアゼル軍務長官が王に向かって恭しく頭を垂れて、こう一礼した。
「本日剣舞の儀を開催できることを、大変悦ばしく思います。」
「大義である・・。」
相変わらず、見張りや警備に囲まれて姿は見えないが、王の声は聞こえた。
―よく通る声だ。
ステラははっきりとした王の声の抑揚を聴き入る。
滅多に姿を現さないベルヴァンド王・・・。グレイン隊長も謁見させて
もらえなかったという、この王は・・・。
―護衛が必要だとはいえ・・・姿が覗えないのは不自然な感じがする。
そこまで彼女が考えていると、ついに剣舞が始まった。
カルサイトは全部で八番隊まである。
騎士団員は8つの帯状に並んで剣舞を披露し始めた。
☆ ☆ ☆
剣舞は一寸の狂いもな全員でく規則的に繰り広げられる。
時折その中でも選ばれた団員二人が一対一でレイピアを交える。
ステラはその度、見逃すまいと凝視した。
―リーディ・・・どこにいるの?
ここには、コウらしき人は何となくだけど
いない気がする・・・。
すると、
しばらくして向疵が右頬にある青年が、もう一人の青年と一緒に演舞場の真ん中に躍り出てきた。普段は目立たないはずのその傷痕がすぐにわかったのは、おそらく、隊に入隊してから更に金の髪を短くしたからだろう。
―リーディ!!
あざやかに繰り出される剣にステラは彼だと再度確信し、数週間ぶりとはいえ、ずいぶん離れていた気がした。
そして彼の剣舞を見ながら胸いっぱいに安堵感が広がり、ステラはつい顔を綻ばせた。
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