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昼間の仕事を終えてから、 ステラはグレインの私室へひとり行くようキースに言われた。 ―話はもう(グレインには)ついている。私と一緒にグレインと対面すると、他の騎士やアゼル長官などに怪しまれるので気を付けなさい。 ザックが気を失っていたことの一件で、 うまくキースは諌めたそうだがアゼル長官はピリピリしていたようだ。 キースは少し感づいた。 アゼル長官がピリピリしていた理由は・・・ザックが部屋でのびていた(気を失っていた)事だけではない。昨夜に何か別の事件が他であったからだと。そちらの方に気が行っていて、ザックのことはうやむやにできたのは幸いだったが。 ―グレインは昼まで体調不良で臥せっていることになっている。(半分事実である)昼休みの小一時間の間に行きなさい。 そう言われて・・・ステラは承知した。 キースが扉を開けて持ち場へ戻るとき、ステラは別に気になっていることを彼に問うた。 「キース隊長・・・。」 「・・他に何か?」 「・・・カルサイトには今回新しい騎士見習いが何人か配属されたのですか・・・?」 ステラは気になっていた。 リーディとコウももう城には入った筈。 しかしながら情報が無い。 せめてでも手がかりは把握しておきたい。 そう思ったのだ。僅かな情報でもあるに越したことない。 「ああ、今朝配属が発表された。5名かな? 私のところにも1名。」 「名前は何と??」 キースはその者の名前を教えたが リーディでもコウでもなかったのだ。 少し落胆した彼女の様子を見てキースは怪訝そうに今度は彼がステラに尋ねた。 「どうしたのかね?」 「・・・。」 「君は口が重いところが、よいところでもあり困ったところでもあるな。 ・・・さっきも言ったように、他の男性の仲間が城に侵入していることはグレインから聞いている。(※キャロルから話が通っている)ただ、私やグレインのところに配属された感じではなさそうだな。」 「え・・・。」 ステラは半分驚き、半分落胆した。 「もう一度繰り返すが、今回の選抜でカルサイトの見習いになれたのは5人ほどだ。」 「そうですか・・・。」 「まぁともあれ、時間が無い。早くグレインのところへ・・・!」  ☆ ☆ ☆ グレインの私室は幸いにも同じフロアにあった。別の隊長のもとへ行くには何かきっかけが無いと怪しまれるとキースはステラに長剣を持たせた。表向きはグレインに届けさせるという名目だ。 ―グレイン隊長と初めて対峙する・・・。キャロルもいるし、大丈夫よね・・・。どんな方だろう・・・。 ―あと、リーディとコウも・・・無事よね? カルサイトの見習いにどちらかは成れたと思うのだけど。何処の隊に?カルサイトは確か第八番隊まであったはずだ・・・。 そう考えながらグレインの私室の前に行くと グレインの従者プレジオンが待機していた。 「キース殿の侍女殿ですね?お入りください」 ステラは一礼して、プレジオンが扉を開く。 そしてグレインの部屋へ、彼女は足を踏み入れた。  ☆ ☆ ☆ リーディは身支度をしていた。 カルサイトの見習いとして彼は所属する隊を告げられる。 腰にはレイピア。但しスフィーニの紋章は入っていない。粗末なものだ。 名前もリーヴァイと偽名を使っている。 演習場に彼ら選抜隊5人は集められ。 リーディの配属先も発表された。 「リーヴァイ ソル ヴァーニング。カルサイト第四番隊に属することと相成った。」 アゼル長官に告げられ、彼は恭しく礼をして 所属部隊隊長、ユリエルのもとへ行き、再度敬礼しユリエルと対面した。 顔をあげて、ユリエルと視線が合う。 そこには少し戸惑い気味にリーディを見つめる第四番隊隊長の表情(かお)があった・・・。
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