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4
一方、レグルスはステラの放った雷光で討たれたと思いきや、ゆらりと起き上がり先ほどまでと打って変わって狂暴化して再び第四番隊に襲い掛かってきた。
度重なった痛みに一時的に怯んだその獣は、先ほどよりも更にいきり立ち、第四番隊に突っ込んできたのだ。
「!」
リーディは ステラが気になって一瞬油断していたので、いきりたったレグルスに気が付くのが遅くなり、仲間数人餌食になった。
そして万事休すと思った時に・・混乱した演舞場内に更なる侵入者が入ってきた。
外野の他のカルサイト騎士団もそれは阻止ができなかったのだ。
ものすごい勢いで突っ切って行ったのは・・・見慣れた馬車であったから。
それから、美しいフルートの旋律が聴こえてきた。その見慣れた馬車は黒い駿馬が牽いていた。
―あれは、バルッシュ!!
キャロルはすぐに、その黒い駿馬に気が付いた。
ということは・・・。
御者はガンドーラを被った若き商人。
その横にてフルートを吹いているのは、栗色の髪の青年だ。
馬車の扉を開かれると、もう一人のグレインと張るくらいの巨大な体躯の大男が、誰かをエスコートしている。その手を取られてあでやかな黒髪の芸妓が出てきたのだ。
―ああ、やっと来てくれたのね・・・。
フルートの音が高く響き渡り、芸妓は堂々と、しかし繊細なステップで、血 生臭い 演舞場の中心へ躍り出て、舞を舞った。その舞は繊細でとてもとても美しいものだった。
まるで、彼女の背に妖精の羽が生えているかのよう・・・。
「メイ…!」
リーディは呆然と彼女の舞を目の当たりにして呟いた。
さらに驚いたことには獰猛なレグルスが襲い掛かるのをやめて尻尾をパタパタ横に揺らし大人しくなったのだ。
異変はそれだけではなかった。
魅惑の芸妓、メイは軽やかにステップを踏む度に物々しい雰囲気が一変する中で、演壇でも変化が起きていた。
虚ろなベルヴァンド王の瞳孔に、光が灯ったのだ・・。
―王が…!?バカな・・・??
アゼル長官は目を見開いた。
にわかにベルヴァンド王がガタンと玉座を立ち、長い長い夢から覚めたように周囲を見回す。
王は芸妓の踊りをまじまじと見た。その踊りはかつて王が愛した芸妓のそれだった。
だから、彼はその芸妓の名を呟いたのだ。
「ミレイ…。」と。
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