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その6
麻衣
”そこ”を後にした私たちは、道頓堀近くでたこ焼を食べながら散歩をしたわ
彼は万博抗争の”その後”について、詳しく話してくれてる
「…あの時、俺に手をかけたのは関西系複数の組員なんだが、それを取りまとめていたのが、広島の五島さんだよ。あの人が収拾に向けて、矢島さんにその意向を伝え、昨日会った御大の仲裁でコトは終結してな」
「…」
「今回、御大が間宮の受け入れ先を五島さんに持って行ったことの意味するところは、相和会と関西全体で、万博抗争の過去を清算したことを改めて世に示したことに他ならない。要するに、これからのウチと西の関係を、関東に突きつけた形になるんだ」
「優輔さん、じゃあ、今回婚約者としての私を連れて万博抗争の象徴的人物だったあなたが、そのお二人と会った。これって、改めて業界全体にアピールしたことになるのよね?」
「その通りだ、麻衣。俺がリンチ監禁された件をお前が知っていることはよう、五島さんと御大さんには敢えて話さなかったから、先方もお前の前ではさすがに当時の話には触れなかったな。今回はこれでよかったと思うよ」
「私がそれ、知ってること伏せるって決めたの、静岡の叔父さんか剣崎さん?それとも…」
「…俺からそうして欲しいと、二人には事前に頼んでいた。今回のお前には、かわいい婚約者で居てもらいたくてな」
私はとてもうれしかった
それにさ、対外的にだって、それで正解だったんじゃないかな
...
「ふふ…、しかし関東は面食らっただろうな。あの抗争の当事者である俺が17歳の婚約者を連れて、”このタイミング”で五島さんと西の御大を訪問したんだからな。しかもその17歳は、故相馬会長の血を汲んだと噂された少女だ。はは…、静岡の叔父貴が描く絵はいつも強烈だよ(苦笑)」
優輔さんも、血なまぐさい過去をあらためて持ち出さなくて、万博抗争の清算をインパクトある形で周囲に示せたことに、安堵を感じているようだったわ
...
「それとな、明日静岡でだが…。お前、叔父貴をその足で連れ出そうと考えてるんだろう?」
「ええ。できればね」
「明石田さん、俺たちと一緒に来るかもしれないぞ。たぶん、自分から言いだしてくる」
「え?そうなの…」
「上京する用が出来たってことらしいんだが、どうせなら、俺達が西から戻る際、一緒にって方が今回の行動に箔がつくのは、叔父貴も心得てるんだろう」
「はは…、じゃあ、私も叔父さんの様子を覗いながらってことにするわ。でも、その用事って、”お仕事”なんでしょ?」
「…建田さんの面会だ」
「…そう」
「裁判がだいぶ進んだみたいで、今の状況だと、刑期が予想外に短い見通しだそうだ。それでな…」
そう言うことか…
そうなると、私的にも無関係じゃないし、場合によっちゃあ、ややこしい事情も考えられる
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