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その2
麻衣
「…優輔、話してくれてありがとうね。よかったよ、今日聞けて」
サングラスを外していた優輔は、少し口元を崩して無言で頷くと、ビールを一気にがぶ飲みしてた…
...
倉橋優輔が”僕殺男”になった日…
それは、大阪万博抗争のさらに4年前へさかのぼる
ある友人の揉め事で仲裁人というか代理人を引受けた優輔は、相手側には断固妥協しない姿勢を崩さなかった
実際、”非”はその友人にあったようだが、優輔は友人の味方であり続けたんだ
まあ、相手からしたら、そっちが悪いのに何ふざけたこと言ってんだってなるわね
最もその相手というのも、タチの悪い輩だったようだが…
なにしろ優輔はそんなのお構いなしで、向こうの要求は突っぱね続けた…
そんで結局は、文句あるならかかって来いや!…ってね
そんなのノリに行き着いたそうだわ
...
で…、相手側が連れてきたのが、関東広域組織の直系、田代組だったそうよ
最終的に結構な幹部クラスが出てきて、優輔は友人の”非”を突き付けられたらしい
実際、優輔も落ち度は自分の友人の方にあると分かっていたが、それでもモノホンのやくざが一般人を威圧する態度は許せないと、当時、バッジもつけていない身で、堂々と渡り合ったらしい
田代組の幹部は、その意気良しということで優輔の友人を不問としたということだった
ところが…
その後、幹部の意向を無視して、田代組の組員数人が友人の”非”に付け込んで追い込みをかけた
友人は抵抗したが、その田代組構成員がナイフを手にして脅すと揉みあいとなり、友人は相手のナイフで組員一人の耳を切りつけてしまったそうだ
まあ、揉みあいになったはずみではあったが、当然そのまま済むはずはないよな
...
友人はその場から拉致され、激しい暴行を受けた
結果、友人はろっ骨を折ったが、警察へは被害届を出さない誓約書を取られた上、解放された
後日、その友人のケガを知った優輔は、事情を尋ねたが、口止めされてた友人はなかなか本当のことを話さなかった
それでも優輔は執拗に友人を説得し、最後は半ば無理やり聞き出したってことだよ
コトのいきさつを知った優輔は、その行為に及んだ組員3人を探り当て、あるバーで友人への行為を問いただした
だが向こうは開き直って、優輔の友人の”非”だけを主張した
自分んとこの幹部が了解したのに、それを無視してカタギである弱者の”非”に付け込んで、卑しい要求を迫った行為…
優輔はそれを見過ごすことができなかった
数人の田代組組員がせせら笑っていると、優輔は一般客のいる店内で3人を片っ端から殴りつけた
徹底的に、これでもっかってくらいに…
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