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その3
麻衣
野獣と化した優輔は、ひたすら殴り続けた
最初は悲鳴を上げていた客も、あまりの壮絶な優輔のキレっぷりに、いつしか息を呑み立ち尽くしていたという
”このままでは、3人とも殴り殺される…”
店の人間は警察を呼び、まるで機械仕掛けのロボットのように3人の男を殴り続けていた優輔は、駆け付けた警察官に取り押さえられた
数人の警官に連行される優輔の顔面は、相手の返り血をシャワーのように浴びていたそうよ
...
しばらくして、そのバーで商店街の店主数人と飲んでいた相和会の相馬会長は、優輔と田代組との乱闘事件を耳にすることとなった
その一部始終を聞いた相馬さんは、優輔に殴られた相手が流した血痕を嗅ぐようにソファへ顔を寄せてたという
まあ、傍らのホステスさんたちは腰を引いて固まってたらしい(苦笑)
相馬会長は同行していた矢島さんに、警察に拘留されている優輔を相和会に迎え入れるように指示したそうだ
関東直系の田代組数人に、裸一貫の男が一人で大立ち回りを演じたイカレ男に、相馬さんは興味をそそられたみたいでね
...
矢島さんの命を受けた剣崎さんは、傷害罪を不起訴で免れた優輔を連れ、相馬会長に面通しした
「おお、お前…、その目いいな。気に入った。ウチのもんになれ。剣崎、お前見てやれや」
「あのう…、俺は、関東直系に狙われてる身です。その俺を拾われたら、そちらの付きあいに支障が出るんじゃないんですか?」
「俺はよう、お前が関東直系の田代に一人でケンカ挑んだ気概のある野郎だってんで、ここに呼んだんだ。奴らがお前を狙って来たらぶっ殺してやる。そのつもりだぜ」
「…」
「だがよう、何も向こうからくるのを待ってるのも芸がねえ。今から、この剣崎と田代組へ出所のあいさつに行って来いや。そこで四の五の言ってきやがったら、殴り殺して来い。ケツは俺が持つ。遠慮なんかいらねえぞ、クソ野郎は撲殺しちまえ!」
その後、田代組に乗り込んだ優輔と剣崎さんは、あいさつというより、ケンカを売ってきた訳なんだけど…
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