麻衣ダーリンは撲殺人/イカレた二人の愛の軌跡

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作者補足解説 超長編群像ストーリー『ヒート・フルーツ』の登場人物には、数々の異名が登場しますが、倉橋優輔のニックネーム、”撲殺男”若しくは”撲殺人”と言う呼称は、合田荒子の”赤い狂犬”と並び、作品全編トータルではもっとも多く引用されたかもしれません。 正確にカウントした訳ではありませんが…。 で…、倉橋優輔ですが…。 極道界に恐れられたこのソルジャーのイメージも、『本編』中盤過ぎに麻衣と婚約してからは一変します。 本作品が、最初期原案通りで”大幅加筆”(本編第2部完結後の第3部)に至らなければ、倉橋が麻衣と婚約し、それ以降の二人のストーリーは発生していませんでした。 その場合では、麻衣が自らの”お付き番”である倉橋に仄かな思慕を寄せ、二人の間には特有のシンパシーが通いあうといったラインに留まっていた訳で、最終的には麻衣と倉橋の婚約まで取り込んだことによって、二人が愛し合う過程の持つ意味合いも違ってきました。 そんな思いから、大幅加筆時点で麻衣と倉橋が辿った愛の形成プロセスを検証する視点から何編か書き綴っていて、それらを集約し書き下ろした一篇がこの外伝となります。 ... ここでのエピソードでは、麻衣が倉橋を愛するようになった原点という切り口でまとめました。 ポイントは、『本編』中に複数の登場人物から繰り返し告げられていた、”麻衣は首のやけど痕から倉橋を愛し始めた”という定説を覆し、彼女の撲殺男への愛の萌芽はなんと、その”仕事振り”が原流だったという結論づけです。 言うまでもなく、その”結論”とは、このエピソードを描く際の検証によって導かれた”解”ということになります。 そして、二人が婚約者同士となった以後、様々なシュチエーションが錯綜する中、その延長線上でイカれた元女子高生と独立系ヤクザの過激なソルジャーが共同で”仕事”に乗り出すといった展開は、この二人の自然な成り行きだったと…。 個人的には、麻衣が倉橋の婚約者となったことで、相和会内部の人間として愛する撲殺人と生死をかけた”仕事”の究極の姿こそ、麻衣と倉橋のクライマックスに相応しいと考え、『本編』での二人のエンディングを大打ノボルへの撲殺リベンジ⇒共同作業といったコーディネートに至った次第です。 無論、多少の抵抗を伴った上で…。 そして、そのキーワードはいみじくも”馬乗り”で”決行”した倉橋の思いと執念であり、それはすなわち、永遠の婚約者・本郷麻衣への彼なりのレクイエムに他なりません。 正確には”ここで”、麻衣と倉橋の二人は完全燃焼を成し遂げたのです。 ヒダカ
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