day1’

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day1’

 ”YOU LOSE”が画面に揺らめいている。 「あーちくしょー」  アプリを閉じてベッドに倒れ込み、天井を仰ぐ。 「イベントも終わったしどうすっかなあ」  シャワーも夕飯も終えてしまった。特にやるべきこともなく、持て余した右手でとりあえず動画サイトで人気配信者のリストを探してみる。  ここ1週間アスカに会っていない。1つ上の階に住んでいるアスカとは部屋を行き来するくらいに仲がよかった。 ――ピコ  聞き慣れない通知音。確かめるとしばらく使っていないオークションアプリからの通知だった。 ――これだ!! ・ 「頼むよう、アスカしかいないんだよお」 『面倒くさい』 「俺が手取り足取り教えるからさあ」  電話で友人のアスカを説得をしている。おどけた言い方をしないと、つい口元がにやけてしまいそうになるのだ。 「1回だけ、1回だけでいいんだよお」 『なんで私がヒロのためにスマホの容量を減らさなきゃいけないのよ』  オークションアプリの友人紹介で10万ポイント還元キャンペーンのために、どうにか登録してくれと頼んでいる。 「ヒロが変わりにやってくれるっていうならまあ考えてあげても、」 「わかった!今そっち行くから!じゃ!」  これ幸いと返事も聞かずに一方的に電話を切って颯爽と部屋を出た。 ――コンコン  アスカの部屋のドアをノックする。 「やっほー」 「ほんとに来たよ……」  全く意識されていないような部屋着姿に肩を落としつつ、今週も隙のあるアスカを拝めたと心でガッツポーズをきめていた。 「じゃあはい、どうぞ」 「あざーす!」  ぽいっとスマホを渡された。アスカは男っぽいけどスレンダーな美人だ。 「できた?」  しばらくしてアスカが声をかけてきた。実はキャンペーンなんて嘘で、アスカに会うための口実なのだ。 『珍商品入荷!』  あのとき来た通知はそれだけだ。 「あのさ、アスカ、ちょっと言いづらいんだけども」 「なに?」 「その、ポイントもらうにはオークションに参加しないといけないんだ、それで、これ」  黙って画面をアスカへ向ける。 「ごめん!」  頭を下げて謝った。登録してオークションを閲覧するだけのはずが、なぜか商品を見たら思い切って競り落としてみようという気になったのだ。アスカのスマホであることはすっかり忘れていた。 「まさかこんな金額で落とすと思ってなかったんだ」  うっかりしたフリをする。金額は”300円”だった。そういえば、今朝スマホを見たときも同じ金額を見たような気がする。 「なんだ、そんなもんか。ん?」 「もちろん俺が払うよ、もちろん」 「ねえ、何買ったの、これ」
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