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day2
「ヒロ、ヒロ!」
朝から玄関が騒がしい。
「アスカ? どうした?」
慌ててドアを開けると、部屋着のアスカが立っていた。
「これ」
眉尻を下げて小包を差し出す。
「なんか来た」
寝癖も直っていない、起きたてのアスカは幼さを感じる。
「もうごめん、びっくりしちゃってつい」
朝ゴミ出しに行こうとしたところで小包に気付いたそうだ。怖くなって着のみ着のままヒロの部屋を訪ねたのだという。
「直接届けたってことだよね……」
アスカは震えている。
「警察に電話? それとも近くの交番かな?」
「アスカ落ち着いて。とりあえずこれ飲め」
自分用に入れたコーヒーをアスカに渡す。
『平井アスカ様』
確かに名前も住所も登録したところだ。
『商品名:幸せマイク』
おもむろに俺は小包を開け始めた。
「え、開けちゃうの?怖いよ待って待って」
「アスカは離れてて」
『戻りたい時間をお決めになりましたらマイクに向かって呟いてください。』
あの機械の音声が言っていたことが正しいのなら、あれは本当なのかもしれない。
外装を破り捨て、蓋を開ける。
「何だった、ヒロ、大丈夫?」
取り出すと、何の変哲もないマイクだった。
「大丈夫、ただのマイクだ」
電源もついていない。ほっ、と音が聞こえそうなくらい安心したアスカが見えた。
「でもやっぱ警察に行ったほうが」
「ああ、俺がやっておくよ」
「私、怖い」
確かに見ず知らずの荷物が家の前にあったのだ、無理もない。
「じゃあ――」
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