day4

3/4
前へ
/12ページ
次へ
 ひまわりのマークが書いてある病室にそっと手をかける。 「マユミ、」  ベットの上で折り紙をしていたマユミに声をかける。 「ママ!」  にこやかに振り向いた。 「今日はね、病院にお泊まりなの」 「ママは?」  まだ5歳のマユミは不安そうに(たず)ねる。 「ママも一緒よ。でも明日のお洋服を取りに行くから、少しの間いいこにしていてね」  マユミは、はーい! と元気よく右手を挙げた。 「ママ、パパは?」 「……うん」  まっすぐな瞳に、私はひとつ頷くことが精一杯で、首を傾げる娘をそっと抱きしめた。 ・ 「明日からの面会時間は12時半から14時までです。血縁者のみのご面会となります。」  担当の看護師が何枚もの書類をファイルにして渡してきた。  医者の話によると、ヒロはほとんど望みがないという。 『マユミちゃんをかばうように遊具と車の間に挟まれていました。』 「ヒロ、」 『右肺がほぼ機能しておりません。今は人工呼吸器でなんとか持たせている状態です。いずれは奥様にご決断を――』 「ヒロ……」  何本もの管に繋がれて、右脚は潰れている。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加