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ひまわりのマークが書いてある病室にそっと手をかける。
「マユミ、」
ベットの上で折り紙をしていたマユミに声をかける。
「ママ!」
にこやかに振り向いた。
「今日はね、病院にお泊まりなの」
「ママは?」
まだ5歳のマユミは不安そうに尋ねる。
「ママも一緒よ。でも明日のお洋服を取りに行くから、少しの間いいこにしていてね」
マユミは、はーい! と元気よく右手を挙げた。
「ママ、パパは?」
「……うん」
まっすぐな瞳に、私はひとつ頷くことが精一杯で、首を傾げる娘をそっと抱きしめた。
・
「明日からの面会時間は12時半から14時までです。血縁者のみのご面会となります。」
担当の看護師が何枚もの書類をファイルにして渡してきた。
医者の話によると、ヒロはほとんど望みがないという。
『マユミちゃんをかばうように遊具と車の間に挟まれていました。』
「ヒロ、」
『右肺がほぼ機能しておりません。今は人工呼吸器でなんとか持たせている状態です。いずれは奥様にご決断を――』
「ヒロ……」
何本もの管に繋がれて、右脚は潰れている。
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