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そしたらなんと、お母さんもぐったりと目を閉じてるんだよ。
何個かベンチが小さなテーブルを挟んで向かい合って置いてあって、自動販売機が何台かあるだけなんだけど、そこの一番奥でさ、首を壁に寄りかけて動かないんだよ。
なんて綺麗な寝顔なんだろうって。僕、見とれちゃってさ。見とれて、ぼーっとしてしまうこと、本当にあるんだね。
ああそうだ、陽君、と思って、お母さんを起こして、必死に説明をした。必死にっていうのは、変な感情が湧かないようにね。なんせ若くて綺麗で、弱ってると来てるからさ。
そしたら、彼女のほうもどうやら高熱らしくてさ。意識がはっきりしなくて、上手に歩けていないというか。
巷ではまだインフルエンザが流行っていて、館内も消毒をして回っていたから、これはまずいということで館長に急いで訳を話したら、僕が小児科と内科まで付き添うことになった。
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