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長い雪解けの後で
長い雪解けの後には春が来る。
英語のスプリングの語源や春の和歌を読めば誰でも春がなんであるかわかるだろう。
バネのように植物が飛び出す。
植物と一緒にいろんなものも飛び出す。
新しいことが起きるのは日本ならだいたい春だろう。
期待を膨らませるのにだんだんと温かくなる春という季節はとても良いのだと思う。
かくいう私はそれほど期待に胸を膨れませているわけではない。
高校が最後の年で地獄の受験生活が始まるぐらいだ。
そんな私だからこの春のコロナによる休校は私に取って押さえつけられていたものが全て飛び出したのだろう。
だから私はいろいろなことをやり出した。
Twitterについてる活動縮小とは?ってなってる。
そんな感じで私はまた小説を書き始めた。
また配信し始めた。
元々書いていなかっただけで温めていたプロットがいっぱいある。
頭蓋骨と大腿骨から下はできているのだが、背骨ができてないのがいっぱい。
いつでも私はそう。
人のを読んで少し羨ましく思う。
恋愛小説で成長する登場人物みたいなオーソドックスを詰め込んだ小説を読んでも動かなかった私の心はこの空間で大いに動く。
この電子の、突き詰めれば0、1の集合体で全てが似たように思えてくる小説たちでも生々しいそれが心を揺らした。
うらやましい、私も、と。
この作品を読んでるのはごくごく一部、だけど私は見つけてしまったみたいな。多分優越感も混じってる。
何かのオタクかぶれによくある「おれ(私)こんなマイナーなやつ知ってんだぜ!好きなんだぜ!」みたいな。
そんな私が嫌いな優越感も混じっている。
ちょっと自分に軽蔑する。
いつも通り。
遠距離のもどかしさ。
このご時世だ、いつ会えるかわからない。
告白に返事してから半年。
自分が何をしてるのかわからない。
自分が愛に犯されているような。
愛を振り回して、振りかざしているような。
心が一気に崩れた感覚に襲われる。襲われただけで崩れてはない。
どろどろ、ばらばらどうしよう。
信じきれない。血は争えないのか。
本当にそうだったら私も…
嫌だ。
私は母のように強くはない。
母のように強くありたい。
無理だ。
強くあれたなら私の中学は違った。
無理だ。絶対。
環境が変わっても無理だった。
諦めないと。
どうせ変われない。
奴隷の心理状態の云々が遺伝という話は本当かもしれない。
覚えのない父さんの血か。突然変異か。
じゃなかったら、こんなに強い家族がいる中でわたしだけ弱い訳がない。
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