長い雪解けの後で

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あなたの声を聞いた。 あなたの歌を聞いた。 例え、電子のフィルター越しでしか聞こえなくとも 私は確かにあなたの声を聞いた。 私は彼女に合わせる顔がない。 あのアカウントももう実質閉じているのかもしれない。 あなたはこっちじゃなくて、なろうの方が好きだって知ってる。 でも、私はこっちでしか表現できないの。 あなたのように器用じゃないから。 でも、あなたの目に触れることを祈ってこれを描く。 だいすきなあなたに届くように願ってる。 取り返しのつかないことをしたのはわかってる。 だからこんな周りくどいことをするの。 ごめんなさい。こんな人間で。 あなたに前世があろうとどうでもよかった。 あなたがいう話が本当かどうかなんてどうでもよかった。 ただただ、あなたの声が、言葉が、話が、物語が好きなのだ。 お願い。 声を 物語を 私に。 わずらわしいってわかってる。 もう、一生関係を持たないだろうと思ってることもわかってる。 あなたと私は進む道が違うから。 あなたは私がちゃんと理解したいと思った初めての人。 ごめんなさい。 ただ、同じ塾なだけだったあなたにこれほど関心を寄せるのは気持ち悪いかしら。 ただ、三年間、小説の話に盛り上がっただけのあなたにこんなに執着するのは変かしら。 キチガイかしら。 気持ち悪いかな。 もう、話せないの。 もう、言葉を交わせないの。 勇気がないから。 ねえ、まだディチュールのままでいい? 鍵は野花のままでいい? あの小説を続けていい? 待ってていい? 許さなくてもいいよ。 届かなくてもいい。 聞いて。 みて。 話して。 届いて。 苦しいよ。 助けてよ。 ねえ。
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