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 翌日、洋平が帰宅すると、様々な料理がキッチンテーブルの半分を埋め尽くしていた。 「おかえりなさい。すぐにご飯をよそうから、ほら、あなたもすぐに着替えて席について」  いつになく楽しげな口調の真弓にそそのかされるように、洋平は仕事の汗を流す為に洗面所でさっと顔を水で洗ってから、転がるように椅子に滑り込んで言った。   「この匂いは、生姜焼きだな。なにか手伝うことはあるかい?」 「大丈夫だから、椅子に座って静かに待っててね」  エプロン姿の真弓の背中を見た洋平はふと回顧の念にかられて、目頭を熱くした。真弓にばれないように、洋平は右手の親指と人差し指で目頭を押さえつけた。  真弓はできたばかりの熱々の生姜焼きが乗った皿をテーブルに置いて、続けてみそ汁とご飯を置いた。そして最後に、テーブルの真ん中にすごろくを置いた。 「食べてからやってもいいんじゃないか?」  洋平が素朴な不平を漏らした。 「別にいいじゃない。それより、ルールは覚えているわよね?」 「ああ。サイコロは一から三までで、止まったマスに関連する話をするんだろ」 「先にあがったら?」 「負けた方が言うことを聞くんだろ」  真弓は一つ頷きを返してから言った。 「私からサイコロを振ってもいいかしら」
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